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番外編:華南WAVE掲載記事
広州の弥次さん喜多さん 飛び込み営業隊が、行く!
〜広州「飛び込み」見聞録〜


中国進出を果たす日系企業が増加するなか
進出企業に対する中国内での売り込み合戦も激化しつつある
より効率的な営業方法とは? より確実に「人と会う」には?
各企業が試行錯誤を続けるなか
「飛び込み営業」というアプローチを選択したある営業部員に
その理由と貴重な体験談を聞いた



『飛び込み』決断は当然の展開だった?

華南WAVE(以下、華南)
 お二人は『会員制の中国ビジネスコンサルティンサービスの営業』をされていますが、なぜ広州で、そしていわゆる「飛び込み」という直接的な方法で取り組んでいらっしゃるのですか?

杉山竜一氏(以下、杉山)
 弊社の会員企業様は水野真澄の知名度向上とともに、おかげさまで100社を超えました。大手企業様から中小企業様、そして業種も多岐にわたっております。
 しかしながら、ますます発展がつづく広州地区での会員企業様の数はいまひとつという状況です。そこで、広州での営業活動を強化しようと考えました。

桑畑俊哉氏(以下、桑畑)
 とはいっても、ご多分にもれず大々的な広告をうったり宣伝物を作ってばらまけるほど予算はございません。「金を使わず頭を使え」といっても、私と杉山はあいにく頭で仕事をするタイプではなかったのですね(笑)。では身体を使おうと……。

華南
 そこで必然的に「飛び込み」となったわけですね。

杉山
 ただ「少しは頭を使おう」と事前に戦略を立てましたよ(笑)。コンサルティングサービスという商品の性格上、広州市内である程度の歴史がある企業様は経験も豊富だから私どもを必要としていないだろう、それよりも進出間もない開発区の企業様へ一社ずつお邪魔していく方が効率的だと……ところが、ここで早くも壁が(笑)。


連続するトラブルを乗り越えた先に

華南
 どのような問題が起こったのですか?

杉山
 情報が少なかったのです。公に手に入る資料は市内の比較的古い企業様のもので、私どもがターゲットとした開発区に進出している企業様の場所や電話番号が満足に記載されているものが十分ではなかったのです。

桑畑
 じゃあ、直接行ってみるかと……幸い(笑)地図はあったので、行けば何とかなるのではないかと。
 しかし同時に「飛び込み」という方法が戦略的に意味をもち、効率的であるとも考えたのです。

華南
 たとえば?

桑畑
 電話でまず「中国ビジネスのコンサルティングサービスの営業している者です」と言っても、ほとんど「結構です」となって進展がのぞめません。営業でも何でも、ビジネスは会って話しをしなければ前に進みませんよね。それにコンサルティングサービスという性格上、とにかく一度会ってお話できれば違う展開が望めるかもしれない。その上、思わぬ情報が手に入るかもしれないと。

華南
 そこで実際に営業を開始されて、どういう状況が展開されましたか?

杉山
 これがまた、いきなりつまづきまして……開発区の「日系企業マップ」みたいなものを用意したのですが、行ってみるとまだ影も形もない進出予定地だったり、おそらく電力不足が原因で工場が休業だったりと、すんなりいきませんでした。

 開発区の管理事務所でマップをいただけるか尋ねても、「渡せない」とばっさり。そこで作戦変更です。実際に開発区を歩き、「表札」で日系企業かを判断することにしました。その目星がつけば、あとは飛び込むだけです。ただし、実際に日本人のお客様と会う前にもう一つ大きなハードルがあるのです。

華南
 次は一体?

写真1
桑畑俊哉氏
丸紅香港華南有限会社コンサルティング部にて企画、営業、総務を担当。

写真2
杉山竜一氏
丸紅(広州)貿易有限公司コンサルティング部にて企画、営業総務を担当 。

写真2
「飛び込み営業隊」の頼りはお手製地図帳のみ。慣れるまで、開発区は迷宮の如し!。

写真2
弥治さん喜多さん飛び込み中。桑畑氏(後)の背中には、すでに落ち着きが感じられる?

写真2
「飛び込み」が与えてくれた経験は何物にも変えがたいと語る両氏。もちろん2005年も積極的に「歩く」予定。

写真1
お手製地図は昼食時にも手放しません。いま自分たちがいる場所を探すのも大変です(笑)

写真2
丸紅広州から出発! 今日は何人のお客様にお会いできるだろうか?


杉山
 入口の守衛(笑)。彼らは、不審人物を中に入れず工場の「水際」で安全を守るのが仕事ですし、あまり大きな声では言えませんが、普段さほど忙しくないぶん私どものような「不審人物」を見れば、ここぞとばかりにはりきります。こちらも「アポは取っていない」と言うのですから、無理もないのですが。

華南
 どのように「突破」するのですか?

杉山
 まず「日本人スタッフと話しをさせてほしい」と懇願します。パターンとして次に守衛は日本語の話せる中国人スタッフに繋いでくれます。ここまでくれば、あと一息。私どもの身分を説明し、お時間があれば、会っていただけます。会社名を「ワンホン」(丸紅の中国語読み)と名乗るのですが、なかなかわかっていただけませんね(笑)。

華南
 そして、お会いしていただけるのですか?

杉山
 もちろんお時間がない場合は無理ですね。あとはやはり「危機管理」上の問題からか「アポがないとダメ」という企業様もいらっしゃいます。これは「飛び込む」側の立場としては覚悟していますが、少しツライですね……。


多様化する人材と直接触れ合える魅力

華南
 お会いなさっているのは日本人駐在員の方だと思いますが、どのような方がいらっしゃいますか?

杉山
 数人の日本人駐在員で運営されている企業様が大半ですが、工場立ち上げ期間中のため日本の本社から10人以上の応援が来ている場合もあります。

 ある企業様では日本語堪能な中国人社員に対応していただきましたが、お話を伺うと日本の本社採用で数年間の日本勤務後、駐在員になったとのこと。「中国で採用した人材が日系企業で出世する」という話しはよくありますがこういう方には初めてお会いしました。まさに人材の逆輸入ですね。人材の層が厚くなっていると感じます。

桑畑
 それからもう一つ。最初は日系企業様だと思い面談を申し込みましたが、対応していただいたのはまた日本語堪能な中国人社員でした。お話を伺うと「実は米系企業のため日本人は出張ベース、しかも日本以外の国からしか来ない」とのこと。それでもこの中国人社員が中心となり、中国進出している日系企業に営業を始めていらっしゃいました。力強さを感じましたね。

杉山
 日本人駐在員の方に話しを戻すと、通常は三年ほどで日本へ帰国する方が多いのですが、なかには香港や中国他地域での駐在も含め二十年近い方もいらっしゃいました。こういう方はまさに中国ビジネスの「酸いも甘いも」ご経験されているためお話にも重みがあります。実際、こういった方が引退後中国ビジネスコンサルトとしてご活躍されることもあるようです。

桑畑
 開発区の駐在の方は、「日本人会」のような形で親交を深めたり情報交換されたりしているようですよ。

華南
 お二人のことも、話題に上ることがあるのでは?

杉山
 「御社にもヘンな二人が飛び込み営業に来ませんでした?」という感じでしょうか(笑)。印象に残していただければ、それで十分なのですが。


広州の弥次さん喜多さん 飛び込み営業隊が、行く!
〜広州「飛び込み」見聞録(2)〜


「金を使わず頭を使え」「頭以上に身体を使え」と「飛び込み営業」をスタートさせたふたりの営業マン
今後の発展が予想される広州経済技術開発区を実際に歩いて見聞きしたこととは?
「飛び込み営業」によって見聞きした多種多様な情報と経験は中国ビジネスの素顔を知る貴重な手がかりとなるだろう



進出企業の数だけ悩みもある?

華南WAVE(以下、華南)
 さて、実際営業されていてどのようなお話や悩みが聞けるのでしょうか?

桑畑俊哉氏(以下、桑畑)
 いろいろですが、たとえば通関関係ですね。税関によって、そして担当者によって見解や対応が違うとか、税関の職員も広州の急速な発展につれ増える業務量や質についていくことが難しく、また慣れていないせいで時間がかかるとか。他地域で保税品を国内販売したという事件がおこると、その品目について通関が厳しくなり時間もかかるようになった、というような愚痴も聞きました。

 具体的には、保税のつもりで輸入したのに管理が悪かったせいか税金をとられたことがあるので、これを防ぐ方法についてのアドバイスを求められたり、生産設備を日本から免税で輸入したいが……というお話も、数軒のお客様からうかがいました。なかには、通関士の資格をもっているスタッフを用意し、対応しているという企業様もいらっしゃいます。

 あとは、いかにコストを下げるかという観点でのお悩みも多いようです。『日本から原材料を輸入する場合に保税倉庫を活用したいがどのようにしたらよいか?』といったようなことですね。これは弊社とは直接関係ないのですが『価格が安いオツナカ(貨物運輸代行業者)を知りませんか?』といったことまで聞かれます。

杉山竜一氏(以下、杉山)
 あとは労務関係のお悩みも最近よく聞くようになりました。たとえば、工員同士のケンカや出身地の違いから生じてしまうトラブル、保険問題など、工場全体を管理する立場の総経理様や工場長様にとっては頭が痛くなる問題のようです。

 それからやはり電力問題ですね。みなさん、週一日の停電は余儀なくされているようです。たとえば、広州技術開発区永和区は準環境保護区のため非常用以外の自家発電装置が禁止されています。このあたりも、厳しい条件となっているようです。ただし、昨年に比べると状況は改善しつつあるという反応も多かったのですが。広州経済技術開発区は西区、東区、永和区などにわかれているのですが、電力事情に差があるようです。お客様とお話しをしているとこういった貴重な情報が入ってきます。

華南
 各企業様とも、そういった問題やトラブルに対して中方を頼りにする以外、どのような対応をとられているのでしょうか?

杉山
 こちらもまたそれぞれですが、いちばん多いのは開発区のサービス公司にたずねるパターンですね。そして契約している会計事務所や取引先の銀行、分公司などの場合は本社を頼りにしている、といった感じでしょうか。

 中国進出時に丸ごと総合商社の世話になった場合は、そのままその商社がブレーンになっているケースもあるようです。あるいはその会社に出資している政府関連の人材を社員として採用していることもあります。弊社のような専門のコンサルティング会社と関係のある企業様はまだ少ないですね。


実際に歩いて体感する開発区の発展

華南
 おふたりが現在実際に歩いておられるのは広州経済技術開発区だそうですが、印象はいかがですか?

桑畑
 私どもは広州経済技術開発区の西区や東区、永和区をまわっていますが、実際に歩いた上でもやはり『まだまだこれから大いに発展するだろう』と感じますね。開発区内の道路は整備済ですし、東区から永和区へつながる道路は訪れるたびに美しくなっています。空地というか建設予定地もまだたくさん残っています。トヨタが南沙地区に進出を決め、日本完成車メーカービッグスリーが華南地域に揃い踏みしたことで、自動車部品関連を中心に広州に続々進出するでしょう。私どもも、そういった企業様を実際に訪問しました。すでに進出している企業様にも「先月稼働したばかりです」や「来年早々本格的に生産を開始します」というところもありました。

 また、本年半ばから吹き荒れた開発区整理の嵐についても、広州経済技術開発区は国家級であるし、進出企業様とお話をした印象からも、しっかりと透明度が高くスマートな運営がなされているように感じました。場所によっては鎮政府との交渉で何事も決まる、といったようなところもあるようですから。

華南
 全体として進出企業の印象はいかがですか?

杉山
 みなさんお元気ですね。歴史は浅くとも、生産のキャパ(生産設備)を毎年倍々ゲームで伸ばしていたり、現在ある工場の隣に第2工場の建設を計画中だったりと、勢いを感じます。

 もちろん『仕事の量やいただく注文数は増えているが、その反面コストダウンや納入価格の引き下げという圧力は強くなる一方』という声もありました。ただし全体でみれば、拡大がつづき開発区の空地が残り少なくなるのも時間の問題、という気がします。


2005年もどんどん飛び込みます!

華南
 最後になりますが今後の展開をお聞かせ下さい。

杉山
 今後も少ない情報は足でカバーしつつ(笑)、開発区を中心に営業活動をして参りたいと考えています。

 具体的には、引き続き広州を攻めてだいたいすべて回りきったら次は佛山あたりを考えています。みなさまのところへお邪魔させていただきますので『華南WAVEを見たよ』と言って会っていただければ、こんなにうれしいことはありません。なにとぞよろしくお願いします。

桑畑
 営業している以上、弊社コンサルティングサービスの会員になっていただくことが最終的な目的なわけですけれども、それ以外にも、みなさまとお話するなかでいただく情報もまた、私どもにとってかけがえのない財産となります。とてもここではお話できないような裏情報や、おもしろいネタがたくさん入ってきます……と同時にこちらからもさまざまな情報を提供させていただければと考えております。

華南
 今回は、貴重なお話をありがとうございました。意外なまでに冷え込んだ冬から、厳しい暑さの夏へと続きますが、これからもどうぞお身体に気をつけて……。

杉山
 おっと、大事な質問を忘れるところでした。最後になってしまいましたが、華南WAVEさん、最近なにかビジネス上でお悩みになった事はありませんか?

桑畑
 弊社が毎月1650元でEメール・お電話にてお答えしますよ! もちろん回数無制限です。

華南
 ……すいません、おふたりともとてもお元気で、なによりです……。






「華南WAVE」2005年1月号、2005年2・3月合併号掲載